さくららい制作日記

こころと創作について

悪業! から手塚治虫

  姉からLINEで神戸ゆかりの美術館でやっている、手塚治虫展を一緒にみにゆかないかと、誘われていたのでいってきました。

  姉は身だしなみに、すんごくうるさいので、髭を剃りいい服を着てでかました。

  イケメンすぎたので逆痴漢されました。

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  ぼくはいま、詐欺事件や警察関係の作品を制作しているのですが、そのことでゴシップ記事やら新聞など難しい話題がならんだものを読みすぎて、ゆとりがなくなっていました。

  作品を書くにあたり、没入しなくてはならないと思うのです。没入しすぎて、難しい話題ばかりが増えてしまっているのが、つらい。

 

  神戸新交通ポートアイランド線
からみえた静かな海に浮かぶ四国フェリー
大阪市内からやってきて、この静かな街に眠りそうになっていた。
  昨晩から寝不足なぼくは、うつらうつらしながらも、姉とゆかりの美術館へやってきた。

「休む?」
と姉。
「休む」
とぼく。

  手塚治虫展へきて、すぐにソファで寝そうになるのは、なんなんだよw
  宝箱を抱いて寝る冒険家みたいな恥ずかしさがありました。

 

  手塚治虫は生涯に七〇〇作品ほどの漫画を遺しています。原稿へ描かれた絵の繊細な美しいさは驚くべきもので、けして雑にたくさん描いたわけではありません。

『森の伝説』
はエロい。
これが、一番に記憶に残ったのです。

なんでやねん!!。


  遺作となった、手塚治虫の傑作。
『ルードウィヒ・B』
『ネオ・ファウスト
グリンゴ
がならんでいました。ポートアイランド線もそうですよね、後期の手塚治虫作品はカタカナが多い。ぼくは、アンチゴシックの書体が好きです。アンチゴシック+カタカナは最強です!。手塚作品でつかわれている書体からは、理性的な作風を強調しているかと考えます。

 

 

  生きる、生きるとはなんだ。


シッダールタのまえで沼へ溺れ死んだ子供。

 

ブラックジャックが治療したのに、結局は亡くなってしまった患者さん。

 

火の鳥へ永遠の命を求めて、何億もの時間を孤独に過ごした者。

 

  虚しさのなかにふつふつ怒りが混じるような、かなしいような、そんな複雑なきもちにさせられます。

 

  手塚治虫は速読の人だったそうで。ぼくもこのごろは、かなり読むのがはやくなった気がしますが、まあ自慢話はつまらない。

  手塚はちょっとした待ち時間に分厚い本を読破するような、すぐれた情報処理能力を有していたそうです。ずいぶん、生き急いだのでしょう。せっかちだといえばつまらない。漫画へ命を捧げた熱い魂の人です。

  特筆すべきは、やはり手塚治虫の情報処理能力の高さ。これは随所にうかがえると思います。ブラックジャックは、ニュースで騒がれていたゴシップを積極的に取り入れた、ゴシップものの側面があります。そのマメさは、ぼくはよくわかります。
  ニュースになるような事件は身近なものです。いまぼくがやっている作品も、詐欺や労働に関するものですから。

  ぼくの作品は、親しみやすさが乏しいという指摘がまえまえからあがっており、どうにか克服したいところです。
  作中が生身のあまりとりえもない中学生、というのは主人公になりません。なんでかといえば、それでは生々しいすぎる、なぞを意識している節があるからです。あまり生々しいもすぎれば、没入が強くなりすぎ、社会システムを書こう人間としては失格なのではないだろうか。
  もしも書くのならば中学生一年生でそれも性のことや家族を意識するような、ありふれた危機を書こう。

  じろりと目線が女子へとむいている、そんな自分が気持ちが悪いと、憎んでいて勃起したペニスとニキビ。

  自慰をしてスマホで大好きなアーティストの楽器をイヤホンで聴いて、ウキウキする。
  ふとっていて、勉強は大嫌い。女子だって、やおら笑い転げて教師をネタにする軽さが、不愉快いたしかたなく、つよい知識人へ尊敬を抱いてる。

  もしいえば、嘲笑されるにきまっている性の想い。正直ならば性犯罪へ、知識人へ尊敬しているならば、意識が高い劣等生として、げらげらと笑われるのであろう。

…………これはやりすぎ?。
  社会システムを書く。なかなか、うまくいきません。


  手塚治虫は、そこらへんをパロディやら、喜劇を駆使して重い物語なのに、そう感じさせないワザがあったはずです。
  すこし真似してみようかしらん。

 

 


  あと、コスプレイヤーさんがいました。

  セイバーがました。兵庫のセイバー。

  なにかイベントがあったのかな?。

 

悪業! 狐のお仕事(まとめ)

  舞台となるのは、現代の日本。

   この世界では、狐娘は約五年しか生きられません。なので高速で子どもを産み、大量のお金が必要なのです。そして、狐娘たちに大人気の職業といえば、もちろん泥棒!。

  狐娘たちは群れ、すなわち強盗団を結成しています。それぞれナワバリがあり、いつも争っています。

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  各泥棒チームのなかで最も長生きで強いものがボスです。

  大阪市天王寺区のボス。狐娘からは、南地区四丁目と呼ばれています。

 百華は八歳になる九尾の狐。

 とんでもなく感がよく、暴言魔のヘビースモーカー。仲間からの信頼は厚い。

 

  彼女らの生死はサイクルが短い。
  短いゆえに世代交代も早い。
  たまに突然変異も生まれてくるらしい。

 

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  漫画版の主人公。

  名は六花。ユキと読みます。

  かなりナイーブかつややメンヘラ気質。

  世間知らずだが、優しさのある娘です。

 

  こちらの物語をお読みくださいまし。

 

 ◆

 

  縁側で狐(おかあさん)と将棋を指していたのがまさかえらいひとだなんて、私は思わなかった。聞けば、その人は首相になったとか。


  ねえ、おかあさん。私は心で呟いた。
お金持ちの家庭は、どこか欠陥があって、金に汚くて、ずるがしこい人たちだなんて、そんな嘘をどうしてついたの。あの人たちは、笑わないはずじゃなかったの。
義経千本桜」の白狐の真似をする父親がでてくるはずじゃなかったの。
  葬式に集まった親族たちが遺産相続争いをするんじゃなかったの。
  私がつらいぶん、あの人たちもつらいんじゃ、なかったの。

 

 

「六花! なにぼさっとしておる」

「なんじゃよー! 具合でもわるくしたか?」

 

  私は、百華(くだら)さんの声におもわずおびえた。煙草でかすれたかすれた言葉は私にとって大嫌いなタイプのもの。
  お母さんのような、優しくて、静かなのが、この世界で一番なのに。

「やばいだろ……あいつ、あの狐娘(アイツラ)。こんなサイゼなんかで、泣き始めんなよ」

 

「のお、ユキ。えす理論をしっとるよな。ありゃな、ただの都市伝説(ヨタバナシ)じゃないぞ! くふふふ、まあ聞け! 秘密を守るには、誰も信じぬような冗談を流布するのがよく効くんじゃ〜!」

  私は馬鹿だからみんながなにを言っているのかがわからない。どうして、みんなが幸せになりたがらないのかが、ぜんぜんわからない。
  私に向けられた、百華さんの舌打ちにビクッとなり、私は心臓の痛みに気がついた。
「ぶらっくぼっくす? 展というのがあったのを覚えておるじゃろ? えす理論は世界を救う奇跡の発明じゃった! そうではあるまい、えす理論は世界を滅亡させる悪魔の発明じゃというのが、真相じゃ。えす理論を発表したのは、日本人じゃった。名前は鈴木!。鈴木理論!。研究は世界れゔぇるで秘匿とされておってのお、一般人にはけして明かされん。真相を知れば消される。……というのが真相じゃし、検証さいとが閉鎖されたのは、なにかの圧力があったからじゃの。くはははは!」

  爆笑している百華さんはいったいなんのことを言っているのだろう。
  えす理論ってなに?

  ぶらっくぼっくす展ってなに?

 

「真相の真相はというとのぉ! あれは、ふぇいくじゃ! あんなばかばかしい冗談にだれもがふりまわされたのじゃ! くふっ、えす理論は計画的に流布されておる」

  私はお母さんを想いだして、さっきまでほろほろと涙を流していたことを、忘れようとしていた。百華さんは、喉がかわいたのじゃ、と店員さんに水を要求している。
  お母さん、私は悪い人たちにかこまれています。はやく、なんとかしなきゃ普通の生活がしたい。お願いします……。
『悪業! 狐のお仕事』母の愛

 

んじゃ、次です。

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  彼は近藤正宗。

  巡査です。

 

百華に疑いをもっていますが、なかなか動けないでいる、正義の漢。

  百華に射殺されます。

 

  こちらの物語をお読みくださいまし。

 

◆ 

 

巡査になる前のこと。

私こと近藤正宗はある問題に悩んだ。


「ある事件に関しての話」
  配られた用紙には、そう書かれている。
「A〜E の五人が容疑者として浮かんだ。犯人は一人である。各容疑者は以下のように証言した。」
  頭を抱えるながら、続きを読む。
「調査後、このうち二人は嘘をついていることが分かった。犯人は次のうちだれであったか。」

A「犯人は D だ」
B「私はやっていない」
C「犯人は B か E だ」
D「A も B も嘘をついている」
E「C は嘘をついている」

  栃木県の高校を卒業し、私はすぐ警察官を目指した。
  成績は自慢ではないが、優秀だった。父は警察官、母は主婦の家で育った。新聞に掲載される凶悪事件を読むたびに煮えたぐる怒りが湧いた。絶対に、警察官になる。
だが、目の前にした採用試験に頭が痛くなる。時間がない。解答しなければ。考えろ、考えれば必ず解ける。


A は D を犯人だとした。
怪しい。疑いアリ。

次。
B は やっていないとした。
B は ひとまず保留。
ヤツはやっていないと主張するからだ。信じなくてどうする。

次。
C は B か E を犯人だとした。
怪しい。疑いアリ。

他人に罪を着せようと考えているヤツを信頼できない。

次。
D は A も B も嘘をついているとした。
疑いアリ。
B は無罪だと想定している。
従って、嘘をついているのは、D オマエだろう。つまり、
A C D は疑いアリ。

次。
E は C を嘘をついているとした。

A → D を否定。

C → B E を否定。

D → A B を否定。

E → C を否定。

A が犯人であるなば、A の証言は D に否定されているため、嘘。
B は本当。
C は E に否定されているため、嘘。
B は本当だから、D が証言していることは嘘だ。

となると、 C は嘘をついているため、否定されていない E の証言は本当。
疑いついているのは二人。
それゆえ、二人が嘘をついてた場合は、D しか犯人になりえない。

 

ーーーー。

答えは D。

タブン。

 

  私は問題を解き終えて、安心した。

 

  私は高校の先生と話した。

「近藤正宗です。この度、無事に採用試験に合格しました」

「なんじゃ、きゅうにきよって。うむ、さみしいかった……わけあるまい! ちがうぞ、たまには顔をださぬと、その……さみしいじゃろ」

「先生、この問題はどう解けばいいのか教えて下さい」

先生はにっこり笑って教えてくれた。
「これはの、背理法をつかうんじゃ。まあ、これこれ、このようにしての〜〜 ほうれ、できた」

「な、なるほど。勉強になりました。ありがとうございます」

「ぬしはかわらぬの〜」

おわり

 

ちなみに。

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これ。

 

今日はこのへんにしときましょう。

最後にクダラさんのありがたいお話を。

 

 

「たわけ、家電量販店の店員はのお!
会社から派遣さとるんじゃよ、おすすめきけば自社製品を売りつけるんじゃよ。かもになりょって! ばかめ! たわけ!」

「ばかめえ! むかしのお!地方へ赴任した役人じゃったか、やつら私服を肥やすのが仕事じゃから、任期を終えたころには、サラリーほども私腹を肥やしておった!サラリーと私腹をもってうきうき! ところが、ふねが沈んで“ サラリー” のほうが海の底となりて私腹がのこった!」

 

  悪業と書いてワルと読む。なんつうか、チャンピオン感がする。

 

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  あ、ちなみにです!。

  近藤正宗が通っていた高校の先生はお狐先生。

  いや、セルフパロディなんですが。

  お狐先生は健康な笑いを楽しむ、学園コメディなので、その話はまたどこかで!!。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人によっては涙腺崩壊する話

  いまから書くことは、読みとばしてオッケーだよ!。

 

「物書き」だから「物書き」をしているわけです。

 

「絵描き」だから「絵描き」


  そこでおしまいでごさんす。

 

今日は今日で今日だから今日なので今日は今日で今日だから今日は

 

リンゴではない

リンゴでないわけではない
よって、神はいる。
これが面白いと思えるかです。

 

  そのシャカシャカ振られている世界そのものが面白いとして描くよりはカクテルが混ざるなかのようすをみるほうが楽しいのではいかと。

 

友人よりコメント

“物書きだから物書きで終わり以上に何かあるとも思えんしそこでおしまいと考えていいんでない?”

ありがたいコメントを頂きました。

ありがとうございます〜!。

 

 

  乾燥した閉じた世界より豊穣な閉じた世界を。

  実りある豊穣をいのり身を捧げる。それこそが、おわりではじまりでした。とさ(人によってはここで涙がとまらなくなるはずでしょう)。

 

  狼の血族の路線ではこういうことを描いていきたいと予定。

楽しいことをすること

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まるでエロ漫画雑誌だ。と今ホットな話題の週刊少年ジャンプを買ってきました。『ゆらき荘の幽奈さん』はとても気になるところですが、

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その次の記事。ハリウッド版のデスノートのが気になる。なりすぎる。この体を隠した、L役のキース・スタンフィールドさんは黒人の俳優さんだし、ライト・ターナー役のナット・ウルフさんはユダヤ系アメリカ人の俳優さんなんですよ。意図が感じられる。

 

 有頂天家族正解するカド、面白いアニメの作品があるのに、アニメは衰えたことにされていたりします。

  衰えたのは受け手です。

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 合理主義に敗北した日本の伝統。

  串で食べる、という極めてデンジャラスな行為は苦情がきます。

  そういった、不合理でデンジャラスな行為がなくなったら、退屈な世界になるのではないでしょうか。

  一見、無駄にみえる行為になにか大切なものがあるらしいです。

世相

今回の文章はやや長めです。

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さまざまな人たち。

  この絵はぼくの非常によく知っている人たちでかためてみたよ。なんの職業の人たちかはあえて書きません。考えてみましょう。

どれもそれぞれに、それぞれの大変な部分と楽しい部分があります。

   ぼくにとってはみんな共に過ごした仲間たち。

 

1.セクハラ
  本屋の店員さんの仕事は本を売ることですよね。本屋は高校生も働いています。で、女子高生はおっさんがもってくるエロ本に戸惑うわけです(セクハラだ)。それで、適当に働いといたら、先輩に怒られる。女子高生はなんでセクハラされたのに怒らたんだ、被害者は私だよ、と思うかもしれない。
  社会人からすれば、間違っているのはもちろん女子高生の方ですよね。業務である以上はやりとげなければいけない。それに、この程度のストレスに負けるようでは、社会でやっていけるわけがない。みんなそれが常識だと思う。だから、女子高生は孤独だ。傷つけられている。
  女子高生はそんな社会人の常識なんか卑劣で、下劣な、落ちぶれた老害の考えだと思うかもしれない。

「なんでたすけてくれなかったの? どうして怒られるの? わたしばっかり」というふうに。
このようにして、仕事とはこういうセクハラをうける、つらいものだと女子高生が思ってしまうことは断じてあってはいけません。
  さいあくの場合は、仕事がこわくなり、ニートとなってお金に困ることです。お金に困れば生活は苦しくなりますよね。そして、追いつめられて自殺させてしまう。たかだか本を売るか売らないかのために、命のリレーがそこで途切れることは、あほらしいと思いませんか。

  社会で生きるには強さがいるのはこれは否定できない。しかし、労働者へ求められている根気の強さなどが、エスカレーターのようにのぼってしまっている。それどころか、配慮や思いやりに欠落ができてしまっている。

  あなたが女性でまだ処女だし、お金持ちの彼氏に夢を見ているウブな女子高生だった場合。レジをしていると、歯が抜けた、汗臭い、ニヤニヤしたすけべ顔のおっさんが「脅して強制! 母のフ◯ラチオ24時間」というような雑誌を持ってきたら、キモ!!!! となるでしょう。
しかも、「キミカワイネ、高校生? いいね、若くて」などと話しかけられたらきっと吐くでしょう。

  それが過酷で大変に偉い仕事をしている方だとわかるわけがないのです。

  そこで、大変に偉い仕事をしてくれているおっさんと女子高生の両方を知っている、経験豊富な先輩がたすけてくれるのがもっとも素晴らしいかたちであるはずです。

2.人間観察
  マクドナルドのハンバーガーを買いにお店に入る。席を観察すると、イヤホンで音楽を聴いている一〇代の男性、七人で集まり勉強をしている高校生、一人で勉強をしている女子高生と若い層が中心に座っている。
  おそらく中年の体重九〇キロほどかと思える女性に、その母親にそっくりな八〇キロくらいの女子高生が連れ添って早足で歩いている。
  母親は小さく高飛車な声で、すてるように、「あんなんで勉強になるかい」と言った。これはすぐに推測がついた。七人で集まり勉強をしている高校生たちへ言ったのだろう。おそらくは、教育熱心な母親であり、娘に反面教師の例として七人で集まり勉強をしている高校生を差して言ったのだろう。
  娘は何も言わずに母親の背後を追って歩いてゆく。七人で集まり勉強をしている高校生たちを注意深く観察してみる。

  テーブルには、ディズニーキャラクターの絵がプリントされた大きな袋と、タオル、プリント、スイッチが入っているスマホがある。
  プリントの内容は確認できたのは数学で二次関数の問題。スマホの画面はわからない。勉強について検索をかけているのか、それともそれ以外かは、不明。
  問題を解くスピードは一問につき一〇分かもう少しかかっているかと観察できた。

  観察対象を変えイヤホンで音楽を聴いている一〇代の男性にうつる。体は痩せていて白く、運度は苦手そうに思える。
  聴いている音楽をどうすれば知ることができるのだろうか。話しかけるのは、観察対象を動揺させる恐れがあるために避けることにした。大音量ならば近づいてイヤホンから漏れている歌詞を調べることが可能だ。
  観察対象を一人で勉強をしている女子高生へうつす。身長は一六〇ほどだと推測してみる。背中は少し曲がっているのが確認された。顔は平らで輪郭は五角形にちかいと感じた。プリントの内容は不明だが、熱心に取り組んでいる様子はみられない。
  次にマクドナルドでバイトをしている労働者を観察してみる。観察できた限りではレジを担当していた女性が一人と、フライドポテトを揚げていた男性が一人。もしかしたら奥にまだいた可能性はあるが、確認はできていない。
  女性の年齢は一〇代の半ばあたりにみえる。二〇代以上にはみえない。だとすれば、高校生である可能性が高い。ならば近くの高校の学生がアルバイトに応募し働いていると考えられる。話す言葉は小さめで、弱々しく感じられた。顔にはやや疲労の色が浮かびあがっている。
  マクドナルドの時給は高校生の場合は八八三円からなので、八八三円で計算されている可能性が高いと推測してみる。労働時間は不明。学校があるとすれば長く働いている可能性は低くしたがって薄給であることが容易に想像できる。
  週に四回の労働で六時から九時までだと仮定し立てた場合は週で一万円ほどの収入だと考えられる。この女性は週に一万円のお金のために働き疲労を浮かべている。

  その給料を何に使用しているかは不明。
  このことで四例の学生がいることを比較する。

一、肥満の母親と歩く肥満の女子高生。

二、七人で集まり勉強をしている高校生。

三、イヤホンで音楽を聴いている高校生。

四、週に一万円ほどの収入のために疲労の色が浮かびあがりながらも働いている女子高生。

  四の女子高生はおそらく月に三万円と少しの収入だと推論する。とする場合は、マクドナルドで働いていた女性は月に任天堂スイッチの本機だけを買うことができる。

  その働いている背後でフライドポテトを揚げていた男性は仕事に慣れている様子でまだ余裕がみられた。

 

  ぼくにとっては、話している言葉の単語、文法、声のトーン、話し方のイントネーション、躰つき、髪型、仕草、服装、荷物、付近にいる人間、場所、などなど徹底的に観察し年収や人間関係、教育や精神の状態を暴くことが最高の趣味です。
  警察のなかでもこういう訓練を重ねている人はいます。

  もちろん創作活動にも大きな影響を与えてくれます。

 

3.エロ本を買っているおっさん

  実際にガテン系の仕事をしてみて、ラピュタに描かれている工場の人たちがいかにリアルかわかって胸がいっぱいになる。

  厳しく口は悪いが本当は真っ直ぐで優しい人たち。仲間を信じて仕事に誇りを持っている人間たちだ。

   朝から晩まで猛暑の中で泥まみれになりながらも、知識と力が必要な過酷な仕事のなかで、生き抜いている人間たちに敬意しかない。

  過酷だが低賃金であり、ゆえに働き続ける労働者たち。この賃金は労基法違反なのだ。病気を患いながらも治療する時間もお金もない。にこやかに笑って汗を拭うその姿を想い涙がこぼれた。

  命の尊さというのは、生まれてきたから、という言葉では表現できやしません。その命を育むために、どれだけの苦労と誠実さがあったことか。どれだけの人たちが、その命へたどり着くまでに地獄を生き抜いたか。それを考えろ、ということです。そして、それをわかりながらも自ら命を絶つほかがない者がいます。

  運ちゃんとかを無学だとか馬鹿にする人たちがいるけれど(仕事によっては)勉強する時間なんかほとんどなく、まして長編小説を読むような余裕があるわけがないんですよね。エロ漫画やエロ本がなぜコンビニに必要かよーくわかりました。

  社会の仕組みに反対するのは簡単です。しかしね、誰が日本を支えているか、ということですよ。

  特に女性の諸君に考えてもらいたいのです。彼らは一分一秒のなかで働いています。たしかに布を被せれば子供の目にはみえないかもしれないけれども、その「布をめくる」という小さなことが大袈裟にいえば、国家を崩壊させかねないことなのです。

  それでも、社会の実情に疎い方に念を押して書きます。

  そんな一分一秒をせまられる仕事をなくせばいい、とお考えかもしれません。ですが、理想を実現するレベルにもっていくのは並大抵なことではできません。ではあなたが解決法を考えて下さい。こういうことになるわけですし、数秒や数分で考えつくようなことはもう考えつくされているのです。

 

おわりに。

物事は別の角度から眺めてみるとぜんぜん違った見え方をするものです。そのことをぼくは知ってもらいたい。つらつらと長く書いてしまいましたが、ようするに、相手のことを想よ、ということに他なりません。

 

人間が善良だと過信してはいけない

  街を歩いていたり、電車に乗っていると、人間を退けて進もうとしたりする方がいます。自分のことしか考えていません。あるいは迷惑行為を涼しい顔でしています。最終的にちょっとしたきっかけで、自分のために殺しかねるのでは、とこわいものです。

 

  ちょっとしたことで殺人を犯してしまうような人間はごまんといますから。ニュースになっている凶悪事件などなんら疑問はないですよね。

  凶悪事件を犯してしまう、そんな人もいる、といういよりほとんど半分くらいそうだと思ってしまう。

 

  痴漢冤罪の話はたしかに酷すぎる話です。ただ、痴漢をするような人間はかなりいると思っています。

  優しい方は優しいゆえにそこらへんが、わかっていないのではないでしょうか。

  おそらく電車一両に二、三人は痴漢を狙っている人間はいます。

  警察の調べかたを擁護する気はさらさらないのですが、どれほど警察のかたが苦労しているのかは察せます。

 

  アイドルがファンとの握手に手袋をはめているのを批判する声もありますが、必ずファンのなかに凶悪な人間が混ざっていますから、手袋をつけていても見ず知らずの人と握手するのは勇気がいる行為だと思います。

 

  表現規制は絶対に許してはいけません。一方でヲタクは犯罪にはしらない、など過度に人間を過信するのはやめましょう。

  ヲタクもまた一〇人いれば一人は凶悪な人間なのです。

一瞬の光、自殺と暗闇

  思えば、ぼくは何度も自殺を考えた。

  あるときは、中学の頃にあったいじめで、またあるときは家庭のことで。けれども現時点でぼくは死んでいない。まだ、生きている。


  もう限界だ、とそれしか頭の中に浮かばなくなっていた。母と父の喧嘩と愚痴、お金のことに追い詰められて、冷静になることが困難な状態だった。なぜ生きているんだろう? そう思ったとき、ある言葉を見つけた。


「死ぬ前にまず落ち着いて下さい。三週間、いや三ヶ月」
  もちろん、そんな余裕はないはずだと考えた。
  そう考えてみる。でも、たしかに明日には違う思いが生まれてくることは、知っていた。三ヶ月ならばもっと違う。そうだった。人間は変われるんだ。生まれた日と今が違うように、人間は変わりゆく。

 

  ぼくは、遺跡調査の仕事に就いた。
  これも経験だ、知らないことが起きるなら、楽しいじゃないか。作家としての蓄えとしても良い。第一、興味がある。知ることの楽しみが、生きることに結びついた。すると、どうだろう。どんどんやる気が湧いてくるじゃないか。
  目標へ向かって歩むことがその道のりにすべての価値があるように、一歩足を踏み出してみる。
  どうなるかわからない。もしかして、また死にたくなるかもしれない。追い詰められて身動きがとれなくなるかもしれない。
  それでも、まだここで犬死してたまるかと、うちから声が聞こえてくるかのようだ。多くの方が人生に退屈しているんじゃなかろうか。人生に劇的な運命がないんじゃなかろうか。そんなものないよ、と諦めているんじゃなかろうか。諦めるまえに、楽しいことを見つけていくといいかもしれない。

 

  最近、笑っているだろうか?。笑いは副作用のないナンチャラだというらしい。ピース又吉が跳ねながら、ぼくはおそらく殺されるだろう、と淡々とした口ぶりで言うコントがあったはずだ。あれはおもわずナンセンスで吹いてしまう。
  ナンセンスの笑いは、無意味なことが起きて、それが自分の常識から遠すぎるため起こる快感だと考えてみる。凝り固まった考えが一瞬でほぐれる。そういう一瞬と一瞬を大事にしていきたい。