さくららい制作日記

こころと創作について

漫画のこれから

 いきなりだけど

漫画編集者はプロフェッショナルか?
と聞かれたら、僕はいいえ、と言う。

彼らのほとんどはプロフェッショナルじゃない。


 バクマン。という作品がありますね?
漫画を描くならご存知かと。そうでなくとも映画化したくらい有名だ。あの漫画によって、多くの人がジャンプが漫画界で一番であり、ジャンプで連載をしてアニメ化するのが夢であり幸せだと思い込んでしまった。よい編集とコンビを組み、夢に向かって猛進する。よいですねえ。
しかし、あれはジャンプがジャンプを売るために描かせたいわばプロパガンダ。
実際はよい編集と出逢えるかは運(これはバクマンでも言われていたね)。だし、ジャンプの漫画は子供騙しレベルのが多い(少年誌だからってのは理由にならない)。あんなのを一生描かされると考えると人生闇である。
 今やウェブ漫画が普及しはじめてきている。まだまだKindleなどの電子書籍では売りにくいようだが、ほとんどの大手出版社もウェブ漫画サイトを運営しているほど端末の所持率が高い。商業として成り立つ土台はある。
僕は編集者を介さない自分のペースで発表する環境を探している。

まず、イラストや漫画のウェブサイトで、でかいのはpixivだけど、pixivには応援方法が点数かブクマしかない。これでは完全なる自己満足。他の漫画投稿サイトは劣化pixivだし、いずれ競争に負けたりして消えるだろう。いや、そもそももともとほとんど誰も読んでいない。
comicoとかは特別読者数が多いけど、縦読みにこだわる意味がわからない。横スクロールでもいいじゃん。あと、comicoで公式連載したところでたいがいのバイト以下のお金しか儲からないだろう。総括するとウェブ漫画はまだ生まれたばかりでにっちもさっちもいかない、というか暗闇へ走るバイクみたい進歩は早いがよくまわりがよく見えていない(僕はバイクに乗りませんが)。

 

 今や、ジャンプで連載してアニメ化するのとウェブで有名になるのは同じレベルの頂にある。ほんとうなのだ。
もっというと笑えるネタやえっちな絵を描く人が有名になる。
でも、いつまで続くのだろう?
 

巧い絵描きが増えれば増えるだけ、マンネリ化していきます。ま、それがいいかわるいかはさておき。巧い絵描きが素晴らしい漫画を無料で公開する。そして読まれる。
そうなるとどんどん紙の重い雑誌を買って読む気力がなくなるものです。紙の母体は重いしかさばる。僕はネットで漫画を描いたり、商業の編集さんと話しあったり、放浪中なのですが、だからこそ見えてくる漫画界の雲行きがあります。

 

 僕は一ヶ月かけて丁寧にネームを書き、それを担当編集へ送付したのですが一ヶ月近く経ってもメールひとつなし。
ま、忙しいのと期待されてないからでしょうけど、「感想下さい」とメールを僕は送ったのですよ。したらすぐに返信がきて、電話でお話ししましょう、と。
緊張なんかしません。
僕は編集より絵描きが偉いと思うからです。
電話。
…………。
僕「どうでしたか?」
編「いつも通りですね」
僕「言われた通りにいつもより丁寧につくりました」
編「うーん……」
僕「だめですか? もっと受ける方がいいですか?」
編「受ける方がいいですよ」
とかいうから
僕「受ける漫画を描けばいいんですか?」
編「それは君の決めることだよ」
さらに
編「漫画は芸術ではなく商品です」
どうやら受ける方がいいけど、受ければいい、つまり同人から引き抜けばいいわけではない、といった雰囲気を感じた。編集は雑誌のバランスとか考えながら選ぼうとしているのだろう。
僕は反論する。
漫画を商品とみなしても売れていないのだから、編集さん、あなたたちはそもそも漫画を根本から理解していないのでは、と。
僕「編集者はそうでしょけど、漫画を完全に商品として扱う作家ってほとんどいませんよ?」
編集者の好きなものを描いていい、ってのは大嘘なのだ。
編集「売れるか、売れないかではない。それは二元論だ」とかいいながら、「漫画は芸術ではない商品だ」と言っていた。
電話は前触れなく切れた。
切られた、というのが正しいかもしれない。

忙しいそうだから別にいいだけど前触れなく電話を切るの、一言 “すいません” くらい言えないのかよ、とか思った。
(僕はいいけれど)こういう礼儀とかがなってない世界に何も知らない漫画家が巻き込まれているの、異常でしょ。
それと、この編集さんはまだ良心的だろうけど、もっともっと漫画愛がない商品としてしか扱わない編集はいる。もはや僕個人ではなくて、業界全体に漫画編集者に対する不満があるのに、なんら手立てが打たれていないの異常でしょ。
僕とて今の出版不況のなかで商業で活動できると思っていない。けれど、商業以外で稼ぐ手段はほとんどない。ストーリー漫画で食えると思わないこと。稼げても大抵のサラリーマン以下だ。かなしい。

これは今の結論で、数年後にはまた違った時代かもしれない。けれど今はストーリー漫画では食えない、と言わざるを得ない。
でも、食えなくてもいいじゃないか!
別の仕事をしながら描こう!
なんなら親のスネをかじりながら描こう!
生活保護で暮らしながら描こう!
それはそれでひとつの覚悟だぞ。


描く楽しみを忘れるな。