街を歩く
しば犬くんに誘われて日本橋を歩いた。
街は相変わらずヲタク色が強い。世間話をしながら天王寺から徒歩で向かったから疲れた。
多動がひどいと彼は言った。ぼくは、「ん、まあ、そんなこともある」とかくその役にも立たないことを話した。いかにも苦しそうなので、何度も「大丈夫?」と聞いたら、無理してか「大丈夫」と返したから、ぼくは心配だった。
「カフェで飯を食べてる、店員さんがかわいいから」ってぼくが言ったら、「せんせーにも、かわいいって考えがあるんだ」と驚かれた。
むしろ、ぼくは誰もがなにかしろのかわいい部分を持っている、と考えてる。
多動が辛そうなので、経験的にソレから離れられるような遊びをしようと、『王宮のささやき』を買ってやった。
三人からのテーブルゲームなので、ぼくが二役をやった。
すっごく面白い。
メイドのウサちゃんがかわいい。
『王宮のささやき』は宮廷での陰謀劇をテーマにしたカードゲームです。
……。
王宮には不平が渦巻き、不穏な空気が漂っています。まさにいま、最初の陰謀が計画されようとしています。将軍は会計士を自分の陰謀に巻きこみ、メイドは密かに魔法使いに耳打ちします。
最悪なのは同じ地位の人々が手を組んだ場合です。そうなると王宮中に噂が広まり、国王は厳罰を科すでしょう。
いっぽう忠実な家臣は国王の寵愛を得て、ゲームに勝利します。
……面白そうでしょ?
ゲームルールもよくできていている。
遊んでいたら、その間は彼は笑っていたし、それはとても大切な時間のように思えた。
そして懐かしいような気持ちになった。
また歩きまわりたいな。