小さな文字の絵画
騎士団の行進パレードに、街は活気で満ち溢れており、拍手のざわめきの音と、人々の会話が聞こえてくる。
「ああ、騎士様とどうすればお近づきになれるの?」
そんなおとめの声に、ヘッと嗤いすみで睨む女、「人殺しのなにがいい」そんな女が、好きなのかもしれない。
【好きな女の性格】
人と狐の一族がいり乱れるつどいが、言葉に成らぬ眼差しを、中心部の炎がうつろに浮かばせる、一輪の百合へとそそがれている。
大きな耳をもつ白夜の髪の頭には、花冠が、憂いの瞼の下、頬には朱を塗られている。
【白い狐の結婚式】
狐さんはガキンチョ(野生児たち)と遊んで、その都度思うことがある。
疲れる、ということだ。
夕焼け小焼けまで、草はらを走りまわったあげく、まだ珍しい昆虫を探すのだから、足は傷だらけ、手は泥だらけになる。さらには汗が染みて巫女服がクサイ。
【ろりばばあの日常】
レストランのテラス向こうは真っ青な海が広がっているはずで、それは店内からもよく見えたはず。だというのにぼくは海なんか見ないでテーブルの模様を凝視していた。もっとあの人のくつろぐ姿をみておけばよかった。
「それ、脱いだら?」
気がつかずぼくは席についてもスーツを着たままだったらしい
【想い出のあの人】
大きな獣の耳と尾をもつ少女たちは、赤い果実のみのった木の下で、それらをどんどんカゴへいれていく。 木々の間からのびる淡い陽射しによって木のあたりは露わになっている。
一匹の少女が、中腰に耳を立てた。
とたん、バサリ、枝の折れる音が鳴り、少女たちは散り散る。鷲掴みになった少女は、苔むした地に抑えつけられてしまい、抵抗むなしく巨大な《鳥人》に嘴で頭を毟りとられた。血に濡れた苔へ、果実が転がった。
【鳥人】