さくららい制作日記

こころと創作について

感情がない、ということはどういうことか

  あなたは、 Urbach–Wiethe disease という病気があるの知っていますか?。
  ウルバッハ・ヴィーデ類脂質蛋白症という非常に珍しい遺伝病で、局所性両側扁桃体損傷により、恐怖を感じなくなり、向こう見ずな行動をとるようになるんです。
(たとえばヘビが)「怖いと言っていたのに、実際にみたらなんで触っているの?」→「好奇心に勝てなかった」
  こういうのは、身に覚えがありました。それも、頻繁に。毎日のように。

  ああ、そうか………………。
「なんであんな体験したのにへらへらしているの?」

  ぼくは、言葉を失いました。

  ああ、そうか、いままでの作品を読み返して、ようやく気がつく。ぼくには、「恐怖」がないのだった。そのことは明らかだった。一行も、一コマも著者は本気で恐怖を書いていないようすだったから。

  検査を受けたほうがいいのかもしれません。

 

  むかし、イラストに黒を好んで使っていたら、ある人が「イラストは黒が禁止されているのを知らんのか」と。知りませんでした。その頃は、蒙古斑がある絵描きだったから、黒を使っちゃいけないなんて思えなくて、反論したんです。
  ぼくが育ったのは、絵画に漫画で黒は大きな役割を果たしていた。黒は絵に締まりがあらわれるから、好きだった。

  なにも考えなくていい沈黙の色は、黒だけですから。

  それからというもの、沈黙の効果がすなわち恐怖を喚起させる性質を知り、黒はイラストから抜きました。でも、わからないんです。先日に書いたように、ぼくはほんとうに恐怖はわならない。そういった感情がすっぽり抜けている。そのために、いまでも納得ができずじまいなんですよ。

  効果は知っていても、理解はしていない、そんな状態なのです。